LIXILグループ(東京都千代田区)で介護事業を展開するLIXILシニアライフカンパニー(同新宿区)は3月、同社初のサービス付き高齢者向け住宅「プレミオ川口」を埼玉に開設した。ここでの取り組みや同社の今後の展望について、新井智秀社長に話を聞いた。
── サ高住「プレミオ川口」について
新井 当社は福岡・東京で有料老人ホームを運営してきましたが、11年ぶりに開設したのが「プレミオ川口」です。居室数は49室で、元気高齢者などの住み替えの受け皿になれればと考えています。
当施設はサ高住の原点に返り、地域包括ケアにおけるポジションを再確認して「介護予防型」としてスタートしました。そのため、介護サービス事業所を併設していません。
── 運営上の工夫は
新井 家賃収入とサービス費での収支計画を作成しており、建物償却での家賃収入とサービスを提供する人件費での構成で、1年目で単月黒字化を想定した入居計画です。損益分岐点は入居率70%で設定し、2年目までに85%、それ以降は85%以上の入居で初期投資を早く回収できます。
── 地域連携について
新井 開業前に、医療・介護・食事等の地域の複数事業者と対話を重ね、連携体制を構築しました。さらに、当施設では、外から自由に入れるよう道路に面して「地域交流室」を設けています。ここは近所の園児や学生などでにぎわう日もあり、多世代交流の場となっています。あくまで地域における住まいの位置付けであり、サービス等は地域に根差した事業者による提供を重視しています。
地域との繋がりは入居者が外へ出ていくきっかけになります。施設周辺にはスポーツクラブや天然温泉、カラオケなどがあります。目的を持って外出することが1番のリハビリだと思います。
── 今後の展望は
新井 基本姿勢としては「フェリオ」ブランドの介護付有老を展開する方針ですが、介護報酬に頼らない賃料だけで成り立つモデルの確立という点で、介護予防型の住宅型有老やサ高住の展開も視野に入れています。
「健康寿命の延伸」を最大のキーワードに、1都3県で拡大していきます。