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2018年06月06日号

情報医療 AI開発に11億円調達


 医療・介護分野でAI活用の動きが広がっている。情報医療(東京都千代田区)は、4月に三菱商事(同)など4社から、11億円を調達。生活習慣病患者向けのAI開発を目指す。現在各社が研究を重ねており、医療・介護業界における業務の効率化や健康管理の向上などが期待される。

 

 

 情報医療は病気の早期発見、重症化予防のために適切な治療法を提示するなど、医療現場などで活用されるAIを開発・提供。今後も事業者、病院、研究機関などと幅広く連携し、医療情報を適切に活用するためのソリューションを生み出していく。

 


 「生活習慣病を悪化させないためには、普段の運動や食事の管理が重要です。患者が退院して自宅に帰った後も適切な指導を行っていくため、患者の嗜好や性格などに合った支援ができるAIを開発していくことが、有効と考えています」(同社担当者)

 


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 介護分野では、セントケア・ホールディングやツクイなどが出資するシーディーアイがケアプランAIの実証版を開発。全国15法人、38事業所のケアマネが現場で利用する。ニチイ学館と日本電気はAIを活用した高齢者の介護・自立支援サービスの提供に向けた共同研究を開始。エクサウィザーズは認知症ケアの現場が抱える課題の解決などを目的としたAIを、NTTグループは介護施設向けAIロボットの開発に着手するなど、AI導入の動きが活発化している。

 


 厚生労働省は介護分野で活用されるAIについて、今年度から全国規模の調査に乗り出した。民間事業者による開発動向・進捗の把握や、実際に利用したケアマネ・高齢者の評価を探るなどの研究事業を初めて行う。夏頃までに委託先を決定して開始する予定だ。まずは現状や当面の課題を整理し、この領域でAIをより有効に活用していくための手立てを索定する方針だという。